2025.11.13

旅の思い出を食卓に。藁鍋敷きづくり体験記

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佐渡には、古くから「鬼太鼓(おんでこ)」と呼ばれる伝統芸能が受け継がれています。
五穀豊穣や家内安全を祈る神事として、今でも各地域ごとに守り続けられ、集落によってリズムも衣装も少しずつ異なります。その違いを見比べるのも楽しみのひとつです。

そんな鬼太鼓をこよなく愛するのが、両津港近くにあるカフェ「おにcafe」を営む井上さん。
春から秋にかけては島中の祭りを巡り、冬になると各集落の鬼が履く草鞋を手づくりするという、筋金入りの「鬼太鼓ファン」です。

冬の間、草鞋づくりの際に出る半端な藁を何か生かせないかと考え、始めたのが「藁鍋敷き作り」

その手しごとを、井上さんが営む「おにcafe」で体験できるのが
昔ながらの手しごとといっぷく。カフェで過ごす藁鍋敷き作りとゆったり『こびり』プランです。

藁鍋敷きは縁の下の力持ち

冬が近づくと「そろそろ鍋の季節だなあ」と思います。
畑から届いた野菜をざくざく切って、土鍋でぐつぐつ。
それだけで、もう食卓の主役ができあがりです。

実はこれまで、鍋の下には雑誌やタオルを敷いてしのいでいた私。
ところが“藁鍋敷き”を手づくりしてからというもの、素朴な円が台所にあるだけで、なぜか鍋の登場回数がぐっと増えました。
忙しい朝のお弁当づくりでも、熱々のフライパンをそのまま置ける頼もしさ。
いまでは我が家に欠かせない相棒です。

旅の途中でつくった道具が日々の暮らしに溶け込むと、その土地の空気がすぐそこに戻ってくるように思うのです。
忙しい毎日の中でも、旅での思い出は『よし!頑張ろう!』と気持ちを立て直してくれます。
藁鍋敷き体験はまさに『縁の下の力持ち』です。

難しさも味わいのひとつ!?

まずは土台を選ぶところからはじまります。
生活や用途を考えながら・・・そんな想像を巡らせる時間さえ、もう楽しさの一部でした。。
まずは『縄ない』作業からスタート。
2本の藁をねじらせて、1本の縄へと仕立てていきます。
単純作業のようで、これが意外と難しい!

『こうした手仕事は、うまいとか下手ではなく、すべてがその人の味なんだよね』
そう教えてもらって、ふっと肩の力が抜けました。最初から完璧を目指さず、ただこの時間そのものを味わえばいい。旅先で出会った人たちの何気ない言葉は人生の軸になっていく気がします。

自分の手先に集中させながら、無心で縄を作りましたが、次第に手が感覚をつかんできて、どんどんおしゃべりの楽しさも含まれていくように感じました。

手を動かした後は、『おにきん』でこびりタイム

こびりとは手を動かす合間にひと息つく、小さな休憩のこと。
手を動かした後は、おにcafe名物『おにきん』で腹ごしらえをしましょう。

店内にふわりと甘くてやさしい香りが広がり、おなかの奥から『ぐ~』とサインが鳴り出すと、待ってましたのこびりタイムが始まります。

井上さんが幼い頃、この地域では『もじゃきん』と呼ばれるきんつばが販売されていて、地域に愛される味だったそうです。
残念ながらそのお店はなくなってしまったものの、cafeを立ち上げる時に「ならば、あの味を受け継ぎたい」とひらめいた井上さん。

“おにcafe”の名にちなみ、『おにきん』と名付けたそのお菓子は、今や島内イベントではキッチンカーに行列ができるほどの人気者です。

佐渡で育つお米は、日々のごはんとしての元気の源です。
そして収穫後に残る稲藁は、昔から島の文化や営みを支えてきた存在です。
佐渡での旅の思い出をぎゅっと編み上げた、藁鍋敷きを作ってみませんか?
お申し込みは、下記リンクからどうぞ。

さあ、旅のお土産に佐渡の食材もたっぷり買い込んだら、
今夜は鍋パーティーのはじまりです。